秋葉原を歩いた


秋葉原にやってきた。




秋葉原といえばアニメ、AKB48、メイド喫茶をはじめとする日本独自の文化が育った街というイメージである傍ら、実は駅の乗降者数は、国内で11番目に多いのだそう


駅の規模が大きいわりに、これまで降りる機会に恵まれず、なんだかんだで今日まで来てしまった




改札口は3つ。


「中央改札、昭和通り改札、電気街改札…………

…………………………電気街…改札……?


あまりの耳馴染みのなさに、私のなかの山本博が「なんだぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?!?」と叫びそうになるのをグッと堪えた。電気街。電気街とは一体なんなのか。私の知る限りでは聞いたことのない日本語だ。秋葉原の隠語か?





こうなると『電気街改札』を選ばないわけにはいかなくなってくる。


あたり一面が電飾でチカチカ彩られているのか。もしくは日本中のありとあらゆる「家電量販店の激戦区」と化しているのか。電気街、この未知の単語の由来を、一刻もはやく突き止めたい…………





改札を出るとまず現れるは『アトレ』。首都圏を中心に分布する、駅ナカ商業施設だ。さすが秋葉原、何かのアニメとコラボしているらしく壁面がキャラクターで覆われている。いわゆる“萌えキャラ”というやつなのだろうか。数名の男性が写真にソレを収めようとしていた


「推し」を目の前にしたオタクというのは、面構えが、違う。遠目で見れば証拠写真を収める鑑識のソレであるが、よくよく見れば目は燦然と輝き、瞳孔は開ききっていた

すげえ…オタクすげえ…







“本場のオタク”を間近で目撃した私は、電気街改札口から外へ出た



やはり電気街の由来は「家電量販店が多いこと」に起因しているらしい。パッと見ただけでも家電量販店が多い。何なら見たことない家電量販店すらある

なるほど確かに、「電気街」というのはシンプル且つ、なかなか的を得たネーミングかもしれないなと思った。






ふと、視界に気になる建物が映った




『世界のラジオ会館』


これまた想像を掻き立てられるネーミングだ。世界中のラジオが一堂に会しているのか?ラジオの博物館的なものか?






……全然違った。

地下1階〜地上10階までの全11フロアそれぞれに複数のショップが入っているらしい。その種類は「アニメグッズ、CD、フィギュア、ドール、ガンプラ等を扱う専門店」から、「トレーディングカードの買取販売」や「カードゲームの対戦スペース」など、非常にバラエティに富んでいる


言うなればここは、オタクの渋谷109なのだ

マルキューが“日本中のギャルにとって憧れの聖地”なのであれば、ラジオ館もまた、“日本中のオタクが夢にまでみた聖地”なのである。





見よ、このオタクたちの理想郷を…………




はっきり言って、アニメに精通していない人間からすると、何がなんだかさっぱりわからない。ここまでわからない世界があるものかと感心の域に達するほどに、何がなんだかさっぱりわからない


だが、それが良い。世の中にはこんなにも自分の知らない世界があるのか…と、日本にいながらにしてある種のカルチャーショックを体験できるのだ




カルチャーショックと言えば、ラジオ会館には「外国人」がとてつもなく多い。というか客の大半が外国人。アジア人にとどまらず欧米人も大勢いる。文字どおり世界各国から日本のアニメファンが集結しており、ここはG20サミットの会場ですか?となる

「日本のアニメはどうやら海外で人気があるらしい」という情報は常々耳にしていたが、まさかここまで熱狂的とは思いもよらなかった………






様々な場所を見てまわったが、私がやっと認識できたのは、アニメで唯一観たことがある『進撃の巨人』くらい。


これ一式セットで2,480円なのかと思いきや、よく見るとフィギュアひとつひとつに値札がついている。2,500~7,000円が相場なのだろうか。お金がいくらあっても足りない………恐ろしい世界である








面白かったのは、電子機器の専門店にて、ミラーボールが売られていたこと。


「ミラーボールとオタク」という、地球上のありとあらゆる物質において最も遠くかけ離れた存在が、よりにもよってここ、秋葉原で交わるのである

なんという神秘……



しかし、やはり敷居が高かったのか、終始ここだけ閑散としていた






ラジオ館、凡人からすると、目に移るもの全てがカルチャーショックのオンパレードであった………





ふたたび街へ繰り出す。


予想以上に人が多い。そして、やはりその大半は「外国人」だ。そして皆、日本のアニメを愛してやまないようで、グッズを買い占めている。今更ながら、日本ってスゲぇんだな………と思った



それでいて秋葉原、日本なのにどこか日本でないような異様な雰囲気を感じる。

これはひとつに私がアニメやゲームなどの文化に詳しくないのもあるのだろうが、私のようないわゆるジャパニーズ・カルチャーに触れてこなかった類の人間は、観光客との温度差に、一周まわってむしろ海外に来たような感覚すら覚えるのかもしれない。









こちらはアニメの原画展か何かの入り口かと思いきや、なんと「パチンコ屋」。秋葉原の地に馴染みすぎている


オタクをおびき出してパチンコデビューさせようとしているのか、はたまたオタク兼パチンカーをおびき出そうとしているのか。その真相は神のみぞ知る………………








逆にこちらは、パッと見「不動産屋」と「物件情報のチラシ」に見えるが、よく見ればその正体は「アニメグッズの買取専門店」である


店名も出立ちも、どう見ても不動産屋のソレ。危うく秋葉原の家賃相場をチェックしかけるところだ







このように、秋葉原は“店の見た目”と“中身”が逆転してしまっていることが多い。




究極はこの「トレカ買取専門店」である

スタイリッシュすぎて、腕時計専門店か、もしくはオーダーメイドのスーツ屋か何かにしか見えない。


「高く買い取りますよ」ということを伝えたいあまり、失礼ながら肝心のオタクたちが近づき難いオーラが出てしまっている。というか、これは私でも入るのを躊躇する。これでは中国の成金しか来ないのではないだろうか







秋葉原は「ガチャガチャ」の聖地でもある。なかでも一際目についたのがここ






広さこそあまりないが、寂れていて味がある

アメリカの安っいガムみたいな色合いと、建物それ自体の年季が入ったセピア色。このコントラストが絶妙だ








さて、ここで一度、脇道に逸れてみた。



すると遠くに、見つけてしまった………




階段を。


階段を見つけるとつい登りたくなってしまうのが人間の性(さが)。せっかくなので登ってみる

地味に長いが、長ければ長いだけその先の景色に夢がふくらむのが階段の良いところだ。





登っている最中、民家が階段に埋まっていることに気づいた。

家の玄関を出てはじめの一歩めが“階段”というのは、どういう気持ちなのだろうか。平衡感覚がバグりそうでならない






階段を登り切るとその先に現れたのは、デッカい神社………ちょっと笑っちゃうくらい立派だ


地図を一切見ず、下調べもしていない中、「あの階段に登る」というのは我ながら英断だった。





見ると、国歌に出てくるあの、『さざれ石』があったり、





潜るとご利益がありそうな輪っかがあったり、





なぜか警察庁のマスコットキャラクター『ピーポくん』が女性警官と手繋ぎデートをしていたりと、


いろんな意味で徳の高そうな神社であることがわかった。





屋内には土産も売っており、観光客で賑わっている。



食品から雑貨まで幅広いものが取り揃えられていて、


おばあちゃん家でしか見ない“神棚”セットや、



なぜか『龍角散〜ご祈祷.ver〜』があったりと、珍しいものも見られた





カフェも併設されており、「神社で横文字を見る」という貴重な体験までできる



秋葉原には、古くからの伝統も大切にしつつ、時代にうまく適応した神社があったのだ。










繁華街に戻ってきた。相変わらず人が多いどころか、先ほどよりも増えている気がする



ふと、通りかかったゲームセンターが気になった







ヤ、ヤドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン…………ッ!!!!!!!!!





ちいかわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………ッ!!!!!!!!!!!


カーヴィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ………………ッ!!!!!!!!




さすが秋葉原、オタクウケの良さそうな人選である。それでいて圧倒的な量。一箇所に同じキャラが群がっていることにより、可愛さが10000倍にも増すことを“わかって”いらっしゃる。これは気をつけないと、思考停止で硬貨を入れてしまいかねない








エモーショナルな雰囲気がある通りに出てきた。

色褪せた看板たちが、平成の面影をひしひしと感じさせる…………







このゲーセンなんてTHE・平成。というか色合いといい、ネオンの感じといい、これはもはや『セーラームーン』のソレではないか…………?

日本初、“夢カワイイ”の先駆けとして、今すぐ重要文化財に登録し、後世にこの姿形を受け継ぐべきである


何気に看板に書かれた『ビデオゲーム』『インターネットゲーム』という字面までエモい。“エモ”に過剰に反応する現代人がここに来ようものなら、3秒で泡を吹いてノックダウンするだろう。“エモ”とは、惰性で付き合ってSEXしてベランダで酒飲んでなあなあで別れる一連の大学生ミームのことではなく、本来こういうものなのだということをまざまざと見せつけられた








ポカリスウェットのロゴが目を惹く看板。何かと思えば、中は「喫煙スペース」になっていた。そんでもって、右下に小さく書かれた「対話のある自動販売機店」。これが気になり写真に写る自販機を見に行ってみたが、特段変わった様子もない


…………不気味だ。何ひとつ合点がいかない。看板が、まるで意味を成していないのだ。ドッキリですか?「人は看板に書かれていることとその実態が伴わないとき、どのような反応を示すのか?」でモニタリングしてます?

結局最後まで訳もわからず、その場を離れた……







駅に近づくように歩く。すると私の視界に飛び込んできたのは……






「大人のデパート………………」


要するに、ディープで、アダルティーな専門店ということなのだろうか…

気になって調べてみると、やはり予想的中。18歳未満は入ることができない、大人の花園(意味深)であった。



女1人で入る勇気はさすがにないため、せめて近くまで様子を見に行ってみると、





その向かいには、スターバックスコーヒーが建っていた。


驚くべきことに、このスタバのカウンター席から窓の外を覗けば、「今まさに18禁の館に入っていこうとする人間の姿」が、嫌でも見えてしまうのである。我々はフラペチーノ片手に、色欲に駆られた人間を目撃するハメになるのである


ある種そのブランド力に裏打ちされた上質な空間を売りにしているはずのスタバが、「人間の最も人間らしい部分」を野晒しにしていると言っても過言ではない。小道を隔て、「スタバ」と「大人のお店」、いや「理性」と「欲望」が対峙しているのだ。

これにはさすがに「理性と欲望は紙一重」というメッセージ性を感じずにはいられない…………










駅の反対側方面に出ると、巨大な『ヨドバシカメラ』があった。


デカい。半端なくデカい。日本最大なのではないかと思うほどデカい。(日本最大は大阪梅田、秋葉原は都内最大でした)




せっかくなのでこれも覗いてみたのだが、




さすが秋葉原、「ホビー売り場」の気合いの入り方が伊達じゃない…………





秋葉原らしく、ちゃんとガンプラのコーナーもある





あれ、この光景どっかで……………



…………………………………




………………………………








ラジオ会館だ





既視感があると思ったら、冒頭のラジオ会館の雰囲気とまったく同じでした。違いがわからない素人でごめんなさい










今日のところはこれで終わります。
秋葉原、面白いのでぜひ行ってみてください



ヨドバシカメラ・3階にて




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