ルール説明
※より企画っぽくなるようにルールを設けていますが読んでも読まなくてもその後にあまり影響しません
①「降りたことのない駅」で降りる
② 地図を見ない
③ お金を使わない(なるべく)
こんだけ。無職が知らない駅をフラフラする企画、それではどうぞ。
駅に着いた

今回はJR総武線にて、『阿佐ヶ谷』(あさがや)にやってきた。
おそらく私を含む阿佐ヶ谷に行ったことのない99%の人間は、阿佐ヶ谷と聞けば初めに『阿佐ヶ谷姉妹』を思い浮かべるのではないだろうか。そう、あの一度目にしたら忘れられない薄ピンクのドレスとプロ顔負けの歌声とのハーモニーは、まさにここASAGAYAで生まれ育ったものなのである。

さぞかし穏やかで平和な街なのだろうと想像を膨らませ改札階へやってくると、予想に反しまぁまぁ人が多い。

続々とやってくる人の波に逆らうわけにもいかず、人混みにキョドってしまう田舎者っぷりを華麗に発揮した私は気付けば北口へやって来ていた。
駅前には『イトーヨーカドー』に『SEIYU』といういかにも阿佐ヶ谷姉妹がいそうな商業施設のツートップが君臨している。さすが阿佐ヶ谷、抜け目ない

さて、例によってあえて「栄えていなさそうな方」に進んでいく。何もなさそうなところで何かしらを見つける、それが無職さんぽの極意なのである。

すると早速、落書きで文字が読めなくなった看板を見つけた。意外や意外、阿佐ヶ谷にもこういうことをする輩(やから)はいるのだ。
だがしかしこんな悪戯でさえも阿佐ヶ谷姉妹なら「まったく困ったわね〜ミホさん」「でもこれくらいが健全な証拠よエリコさん」「フフ、それもそうだわねミホさん」と笑って流してくれそうな気がしてしまうのだから阿佐ヶ谷姉妹は偉大だ。

……その後も歩いていると、昔ながらの本屋さんを見つけた。やっているのかやっていないのか定かではないが、ポスターの無法地帯となっていることだけはわかる。ここはもう本屋ではなく街の掲示板と化しているのかもしれないし、本屋側も半ばそれを受け入れているような気がする。マリアナ海溝並みの懐の深さだ。

続いて気になるものを発見。これは…

…板チョコ。まぎれもなく板チョコ。満場一致で板チョコ。うんまそ〜〜〜茶色のペンキでテッカテカに塗りてぇ〜〜〜〜その上からニス塗ってツヤツヤにしてぇ〜〜〜〜〜〜
……

この辺りで住宅街に入ってみる。住宅街、それは住民からすれば「日常」そのものだが、私にとっては同じ道を二度と通ることはないであろう「非日常」の世界である。
そんな日常と非日常を同時に味わうことができるある種のスピリチュアル体験が、高額のツボや水晶を買わずともタダで叶ってしまうのだから世間は一刻もはやくこの事実に気づいた方がいい。
そんでブームになった暁には「いや〜とうとうバレたか〜私はだいぶ前から目をつけててんだけど〜」とインディーズ時代から応援していたサブカルバンドファンがやりがちなマウントをぶちかましてやりたい

……妄想に耽っていると気になる建物を見つけた。

銭湯だ。別になくてもいいけど近所にあったら嬉しいものランキング第一位、銭湯だ。

しかも街の銭湯にしてはお風呂の種類がハンパじゃない。…千と千尋に出てくる湯屋か?電気風呂なんて到底人間が入れる代物じゃないし、薬湯はむしろ千と千尋でしか聞いたことない。

銭湯のすぐ向かいには『ショーシャンクの空に』のリバイバル上映の宣伝ポスターが貼られていた。
おいおいおい、阿佐ヶ谷はジブリファンにとどまらず洋画ファンまでも取り込もうというのか………?ショーシャンクなんて『映画好きに聞いた!もう一度劇場で観たい映画ベスト10』堂々第一位(私調べ)の名作やん……………勘弁してくれ
……
その後、一度大通りに出てきた。



阿佐ヶ谷の街並みはあまりにもナチュラルに神社仏閣が溶け込んでいるのでここは京都か?となる。(赤坂ぽ子スは大学時代、京都に住んでいた)

歩道橋の上からの景色なんてもう烏丸通り。
あぁ、懐かしの京都……………
麗しの京都……………
…………

京の都に想いを馳せていると、いつの間にかいい感じの商店街にたどり着いた。
「商店街大好き芸人」の名に恥じぬよう、ここは端から端までしっかりと精査していきたい。


すると早々に、ビジュが大爆発しちゃってる町中華を2軒も発見。知ってます……ウマいに決まってるやつっすよね………脳みそが「ウマい」という先入観に支配された結果もはやなんでも「ウマい」と思ってまうやつっすよね知ってます………

また、気になる美容室も見つけた。

おいしい…テンションパーマ&アイパー
どうしよう。「おいしい」も「テンションパーマ」も「アイパー」も全部わからない。「テンションパーマ=テンション(気分)に任せてかけるパーマ」で、「アイパー=今で言うまつ毛パーマ」というところまではいいが、何をどう頑張っても形容詞に「おいしい」がくる時点で何もかもパーになってしまう。パーマだけに。どうしようギャグセンスまで失った。

気を落ち着かせるために一度小道へ入った。上京した田舎者にとっては小道=心の平安である。

…進んだ先には昔ばなし金太郎、もしくは『ヨネダ2000の愛ちゃんが熊を乗りまわしトゥースをキメ込んでいる謎の一幕』とも受けとれる看板があった。地味に下のクマも誠さんに似てるんだよな
また、この辺りの物件は

『コーポ南』

『西ハイツ』
…というようにかなりざっくりした物件名が多い。
きっと大家さんは自己主張がそこまで強くない人か、特徴的な名前ゆえ苦労の多い人生を送ってきたのだろう。常人なら「ぽ子ス ハイツ」「ぽ子ス パレス」「ぽ子ス レジデンス」「カーサ ぽ子ス」「アーバン ぽ子ス」「メゾン・ド・ぽ子ス」などといった自己顕示欲丸出しのネーミングをしてしまう気がしてならない

続いて学童の前を通りかかると、クリスマスらしいものが展示されていた。子供たちが各々イラストでデコレーションした靴下だ。

ほっこりするなぁ………………ン?

迷路!!?!
めっちゃガチなやつ!!!!!周りがサンタだの雪だるまだのツリーだのほっこりするクリスマス絵描いてる中、1人だけガチ迷路描いてるじゃん!!!!しかも空気読んで要所要所にちゃんと靴下描いてクリスマス感出すのも忘れてないじゃん!!!!天才なのか!!!?!!やべ〜〜〜〜〜将来ビッグになりそう!!!ミライモンスター見つけてもうた〜〜〜〜〜!!!!!!
……

ふたたび商店街の通りへ戻ってくると、いい感じの本屋を発見。しかし本屋より「あるもの」が気になった。

この一輪車だ。二輪はわかるけど一輪の乗り捨てはそう見ない。というか移動手段が一輪車だったらさすがの子供でもおもろい。小学生時代キックボードで移動していたのが私の中で密かな黒歴史になっているが、一輪車はそれを余裕で超えてくるレベルの黒歴史。「おまwwそれ一輪車で移動する距離じゃないだろwww」という距離をいけしゃあしゃあと走り抜けていく様は地元の都市伝説として語り継がれかねない。…しかし持ち主にはどうかそのままでいてもらいたい。おもろいので

…商店街にはおしゃれなアパートもあった。ベランダの風貌だけで『ロミオとジュリエット』が始まっちゃいそうな気がするのは私だけだろうか。洗濯物を干してるだけでヒロインになれる夢の物件だ

……さて、駅前に戻ってきた。
日が沈むまでもう少し時間がありそうだったので、駅前にあった大きめの「アーケード街」に入ることにしたのだが……



あっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっったかい……………
なんだろうこの温かさは………。物理的にじゃなく精神的に温かい。はじめて来たはずなのに異常にホッとする安心感。例えるなら幼き頃トントンと寝かしつけてくれた母親の温もり。いや、もはや母親の胎内。ここは全人類にとっての胎内なのだ。阿佐ヶ谷に来た100人中100人が「なぜだろう、来たことないのにここで生まれ育った気がする…」という奇跡体験アンビリーバボーを実演してしまうし、100人中100人が「阿佐ヶ谷に住みたい」というよりも「阿佐ヶ谷に帰りたい」と口走るようになる。
例に漏れず、散歩を終えたわたしも「(家に)帰りたくない…………(阿佐ヶ谷に)帰りたい…………」と支離滅裂なことを思いはじめる始末。
それでもなんとか重い腰を上げて帰路に着く。が、駅までの途中にあった「地面の柄」になぜか既視感を覚えた。

「この地面の柄…………………………
………どっかで……………………………
………………………………………………あっ

しるこサンドだ」
終わりです。
阿佐ヶ谷、おもしろいのでぜひ行ってみてください。
ポ子さんは古めかしい街がお好きなんですね。
建物が気になったお店などどれかに入っていただくとまた嬉しいなと思いました。
画像が味があって街の様子が窺い知れていいですね。